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■2006年07月04日(火)  MY WAY(19)“音楽とオーディオ”
私の両親はどちらかというと放任主義だったので、自宅にある様々な機械類を私が勝手に触ってもほとんど注意されることはなかった。母は洋裁師で自宅には数台の職業用ミシンやアイロンがあり、父は大工だったので作業場にはたくさんの電動工具があった。

私が12〜3歳の頃には、もう我が家のほとんどの機械の操作にも慣れ、簡単な修理なども自分でやっていた。なかでもラジオやレコードプレーヤー、テレビなどの音の出る器具はもっぱら私の担当で、テレビのチャンネル争い以外では両親が口を出すことは少なかった。私がこの歳になっても、沼田高校の楽器の修理やオーディオ機器の操作が多少なりともできるのは、こうした幼年期の特異な経験が役立っているに違いない。

職業柄、いざ音楽を聴くとなると音質には譲れないものがある。幼児期にSP盤で美空ひばりを聴いた電蓄の操作に始まり、オーディオいじりはいまでも大好きである。だが、最近はCDなどデジタル音源の飛躍的な進歩もあり、アンプやスピーカー、カートリッジなどにこだわった凝った聴き方はあまりしなくなった。

我々の世代はレコード全盛期で、生演奏以外はレコードから全ての音楽を聞いた。前述の「電蓄」はかなり長い間我が家にあったが、SP盤(75回転の針を交換する旧式のもの)専用だったので、小学校高学年の頃には使用出来なくなっていた。私が小学生の頃の主流は45回転のEP盤(ドーナツ盤とも言う)か33回転のLP盤で針は一本ずつ交換する鉄針ではなく、ダイヤ針などのカートリッジ式になっていた。

初めて自分専用のレコードプレーヤーを手に入れたのは中学生の時だった。今ではほとんど見かけないが、「卓上プレーヤー]といわれる手に持って移動可能なコンパクト・ボディにスピーカーが内蔵されたもので、数千円から1万円位で手に入ったと記憶している。さしづめ現在の「MDウオークマン」ぐらいには普及していた。このプレーヤーでビートルズやベンチャーズを毎日溝が擦り切れるまで聴いたものだ。


その頃はもう現在の「ステレオ」方式が全盛となり、左右に大きなスピーカーを備え中央にレコードプレーヤーやアンプ・チューナーを一体化したレシーバ部分を備えた家具調の立派な外観のものが少し裕福な家庭にはあった。しかし我が家には古式ゆかしい電蓄があり、そんな物を買う余裕もなかったので、よく友人の家にステレオを聴きにいったものだ。

“STEREO”という単語はもともとはギリシャ語で「固い」という意味だが、そこから派生して「立体」や「三次元」を意味するようになった。要するに左右の音を同時に別トラックに録音することで再生するときにも立体感を出すよう考えられたものである。

現在ではもう携帯電話までステレオ再生が主流なので、あまり意識しなくなったが、初めて聴いたときにはものすごく感動した。おそらくオーディオの発明史上ではCDに匹敵するものだと思う。左右の区別だけではなく立体感も増すため、モノラルとは全く次元の違う迫力がある。理論的には歴史は古く、ディズニー映画などでは「立体サウンド」として一部では実用化されていたが制作予算が膨大なため後続の作品は少なく、実験的な段階に留まっていた。がしかし、このレコードのステレオ化はまたたく間に世界中に広まった。あのビートルズの録音の多くが左右で不自然なほど音が分離しているのは、ビートルズの出現とステレオ誕生が同時期だったためである。

やがて核家族化の波に押されて、家電製品の省スペースが叫ばれるようになり、「モジュラーステレオ」というコンセプトで、スピーカーがより小型化され,アンプ部分と分離したものが重宝されるようになった。小型化されても、高度に音響解析された密閉型の小型スピーカーは、それまでのものとは比べ物にならないほどの迫力があり、本棚にも置けるというキャッチフレーズで「ブックシェルフ型」として単品でも販売され,オーディオ界で一世を風靡した。この流れは現在の「ミニコンポ」ブームに続いている。
 
やがて高度経済成長とともに庶民の中でもオーディオを「趣味」として考える人が多くなり、アンプ、デッキ、チューナー、スピーカーと自分のお気に入りの製品をバラバラに組み合わせて楽しむという、贅沢な発想が好まれた。このブームは“組み合わせる”という意味で「コンポーネント」と呼ばれたが、終戦直後からマニアやプロの間では本来それが当たり前のことだったので、このブームは単に「にわかマニアが増えた」ということでしかなかった。


私はどういうわけか東京での大学生活ではオーディオから遠ざかった生活を送った。そのくせ「音楽喫茶」や「ジャズ喫茶」へも通ったし、休日には「秋葉原」の電気街をうろついたりもした。親友がかなりのオーディオマニアだったので、一応の製品知識もあり、良い音の判断は出来る方だった。

オーディオにのめり込まなかった理由は、経済的な理由の他に、木造アパート住まいでオーディオの音量を上げる事が出来ないことや、クルマ(なぜか学生のくせに車を持っていた)にカーステレオがついていたので、そこまでの必要性を感じなかったためだろう。結局テレビ以外に音の出る電気製品を持たないまま、音楽大学を卒業して広島に舞い戻った。

2年間の就職浪人の末、教員に正採用になった年に真っ先に買ったのがオーディオだった。オーディオに関しては、ある程度の知識もあったので機種選びに迷いはなかった。1975年の金額で80万円近くもの大枚をはたいて、自分としては文句のないセットを組んだ。

 内容はYAMAHAのNS-1000MモニターとパイオニアのプリメインアンプにTEACの3ヘッドのオープンリールデッキ、同じくTEACの3ヘッドのカセットデッキ、DENONのDDターンテーブルに12インチのSMEのアームと各種MCカートリッジを特注ケースに収め、さらに贅沢にも夜でも抜群の音質で聞けるスタックスのリボン型イヤースピーカー(ヘッドホンとは次元の違う世界だった)と至れり尽くせりだった。初めて組んだコンポではあったが、我ながらいい音で鳴らしたと記憶している。


しかし貧乏人の持つハイグレード・オーディオゆえの不満もあった。まず一番はせっかくのスペックを活かせるだけのリスニング環境がなかったこと。高級オーディオにはそれなりの鳴らし方がある。高級スピーカーが音楽表現を出来る十分な音量で聞くためには、常人が耳を塞ぐほどの音量が必要なのである。芸北の教員住宅でそんな音量を出すには、あまりにも部屋が狭すぎた。時には意を決して大音量で本格リスニングに挑んだりもしたが、妻をはじめ周囲からは完全に「総スカン」をくってしまった。

R.シュトラウスの「ツアラトゥストラはかく語りき」の冒頭のトランペットとティンパニーの掛け合いはとても感動的だが、そのティンパニーの皮の音がゾクッとするほど生々しいG.ショルティ&シカゴ響のロンドン盤は今でも耳に残っているほど気に入っていた。が、それも本格的にはほんの2〜3回聞いただけである。

その後転勤などの生活環境の変化やCDなどのニュー・メディアの登場などもあって、いつの間にか本格オーディオからは遠ざかってしまったが、自分なりに得た結論は結局「音楽は音楽」「オーディオはオーディオ」ということだった。つまり「音楽は心で聞く」ということだ。どんなに高音質で聞いても自分にダメな音楽はダメ。イヤホンで聴いても携帯で聞いても良いものは感動があるし、自分の惚れた曲は良いということだ。CDなどのデジタル音源の登場でそれをいやと言うほど思い知らされてから、私のオーディオ遍歴は徐々に終息した。

しかし私は今でも時々生徒のいない音楽室で大音量で音楽を聴く。1985年沼田高校が開校したとき。私が腕によりをかけてチョイスしたコンポーネントが20年の歳月で見事にエージングされ、かなり良い状態で鳴ってくれている。このシステムもやがて近い将来に寿命を迎えるのかも知れないが、自分の惚れ込んだ音楽をお気に入りのシステムで聴くとき、マニアにしかわからない至福の瞬間が確かにそこにはある。

パールマンのバイオリンの松ヤニの飛び散る音…B.ブレイドのスティックで感じるライドシンバルの厚さ…、歌姫キリ・テ・カナワの切羽詰まった息づかい…、キースのピアノソロに見え隠れする彼のうなり声…などなど小型システムじゃ聞けない「気配」が確かにそこはあるのだが…

 
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■2006年07月26日(水)  2006 Summer Prologue “Headlline(ヘッドライン)” 
 またコンクールの季節がやって来た

 今年も子どもたちにとって最高の夏であって欲しい

 音楽を通して喜ぶこと、悩むこと、そして思い切り泣くこと

 すべては結果でしかないが、勝っても負けても次につながる夏にしたい

 さあ、今年の“NUMATA”にはどんなドラマが待っているのか

我が沼田高校吹奏楽部も明日から4泊5日の夏期合宿に入る。なぜか私は合宿前夜のこの瞬間がそれほど嫌いではない。遠足の前の晩の子供のようだといったら、部員たちにこっぴどく怒られそうだが、なんとなくワクワクするのはなぜだろう。何十年間やっていても、私にとってコンクールのある「夏」はいつも新鮮で刺激的だ。

全力で挑むことに微塵も偽りはないが、私一人の力には限度もあるし、時間的な能率も悪い。そこで今年も沼田の合宿には心強い仲間が大勢駆けつけてくれる。ここ数年おなじみの講師の先生方だ。中でも最古参は25年近いお付き合いの「ダイちゃん」こと、パーカッションの三浦 肇氏だ。1980年ごろ安西中の合宿講師として、わざわざ東京から来ていただいたのがきっかけで、現在では広島県内でも有名な「夏男」となってしまった。

三浦氏は普段は東京でプロの演奏家として、またパーカッション全般の執筆家として、多忙な日々をを送っておられるが、7月下旬から8月上旬のこの時期はスケジュールをさいて毎年広島県内の合宿巡りをすることが彼の趣味?となっている。

三浦氏との出会いは約25年前、現S道高校音楽科のO先生が安西中に勤務しておられたときに、自分の大学(芸大)の同窓生として、合宿の講師に推薦していただいた。当時の安西中の合宿は講師陣がことさら優秀で、広響の現役や東京在住のプロなど、まるでどこかの吹奏楽セミナーのような豪華な顔ぶれで、まさしくプロフェッショナルな仕事をしていただいていた。

その中でも三浦氏とは意気投合というか、運命的なインスピレーションがあった。さらに私が打楽器マニア?だったこともあって、ことさら親交を深めていただくこととなった。何といっても三浦氏の魅力はその卓越した指導力じゃなく(笑)、ずば抜けたユーモアの感性にある。彼と音楽関係の世間話をしていると何故かとても楽しい。ときにはお互いネガティヴなことを話すこともあるのだが、ユーモアと思いやりを忘れないセンスの良さで私にとって数少ない?「音楽仲間」なのである。

ダイちゃんには我が家にも何度かお泊まりいただいたが、我が家に泊まるたびに当時まだ“いたいけな?”小学生の長男に「2つ打ち」や「ロール」や「パラディドル」を仕込んでくれて、とうとう長男はジャズドラマーとして三浦氏の後を追う?かたちとなってしまった(別に恨んでいる訳じゃないけど…)。

ともかくも、合宿でダイちゃんと“ちょっとマニい”会話を楽しむことは私にとっての大きな楽しみだ。

映画「天使にラブソングを2」でのラストシーンをご記憶だろうか。コンテストで優勝した生徒たちの「ラスベガスのダンサー?」という問いかけに、主役のウーピー・ゴールドバーグ扮するデロリスは誇らしげな笑みを浮かべて「I'm not“dancer”」「I am Hedline!!」と言う。“Hedline”の意味は通常は新聞や雑誌などの「見出し」のことだが、職業の場合は「一流」とか「スター」という意味になる。

私も一介の音楽教師ではあるが、できれば生徒に胸を張って「I am Hedline!!」と言ってやりたい。またそういうプロフェッショナルな存在でありたい。

ダイちゃんが打楽器を学ぶ生徒にとって25年間も“Hedline”であるように…

三浦 肇(みうら はじめ)
東京都出身。賞罰無し。現在フリーのドラマー&パーカッショニストとして、スタジオ、ライヴ、ミュージカル、またオーケストラのエキストラ等で活動する一方、音楽雑誌等の執筆陣にも名前を連ねている。好きな作家は柳田邦夫氏、池波正太郎氏、フレデリックフォーサイス氏。ここ数年erシリーズにはまっている。近年観た映画で感動したのは、「北京ヴァイオリン」「ウォルター少年と夏の休日」「サンダーバード」。今までの人生で一番感動した映画は「フィールド・オブ・ドリームス」。てんぷらの「近藤」と寿司の「数寄屋橋次郎」には、生涯を閉じるまでに一度は行ってみたいと思っている。特定非営利活動法人RMAJ(Recording Musicians Association of Japan)会員

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